一乃谷にて鯨[クジラ]を食す

今回は写真取り忘れのため、文章のみのブログです。

 

熱海にいる遠縁の酒屋さん、田代商店の田代正明さんが急逝されたので11月12日、朝イチの新幹線でご葬儀に行ってきました。

この方とも不思議なご縁で、いろいろな思い出があるんだけど、今回はその話ではないので。

 

 

本題はその帰り道、東京に一泊して、お客さんの店を尋ねたという話。

 

東京でお客さんというと、「えっ、東京に支店なんかあったっけ?」と、なりそうですが、東京に支店はないけど、酒屋業界には代配っていう制度があって、お取引ができることになっているの。

 

この代配っていう制度、簡単に説明すると、例えば仙台で何件かお店があって、お取引になっている会社が東京に出店したとき、決済は一括がいいとか、チェーン店価格でうちが少し安く納めさせてもらってる場合なんかに、東京も藤原屋取引にできないか?というご要望をいただくことがあります。

そのときには、知り合いの東京の酒屋さんに配達をお願いすることになるんだけど、藤原屋がその酒屋さんから配達料こみの値段で買って、代わりに配達してもらうという考え方になるのね。

 

 

わかりづらいですね。まあ、あくまで特例的な取引形態です。

 

 

話を戻して一乃谷さんのことだけど、こちらとのお取引はその代配のなかでも特例中の特例で、一乃谷さんは仙台で30年近くお取引をもらっていたお店が仙台をたたんで東京に出店されたお店なのです。

 

知る人ぞ知るという鯨料理の名店でした。

けれどもどうしても単価の高くなる鯨料理という業態のゆえに、不景気下の仙台では繁盛は見込めないということで、思いきって東京に移られたわけです。

 

ところが、ここからがびっくりなんだけど、東京に移ってからも代配でのお取引をもらえることになったんだ。

 

仙台の地酒を郵送とかでお届けできるっていうことぐらいがメリットで、後はなんにもない。

 

東京の酒屋さんと取引したほうが地域の情報も入るだろうし、値段だって安いと思う。(東京は元々仕入れ値が安い上に酒屋同士の叩きあいですごい値崩れを起こしているから)

 

それなのにうちに帳合いをつけてくれるっていうのは、仙台とつながっていたいって気持ちであり、藤原屋を好きでいてくれるからに他ならない。

 

涙が出るほどありがたい。こんなお客さんにおれは仙台にいるとき、1回も足を運ばなかったんだ。

 

「鯨?たけーもん。」とか思ってた。

 

ごめんなさい。ほんとごめんなさい。

 

 

これから東京に行ったときにできるだけ行かせてもらいます。

 

それから、仙台で一乃谷が潰れたとか、間違った情報を流してる人がいたら全力で否定して歩きます。

一乃谷は、仙台の鯨料理として東京の神田で大繁盛してるよって!

 

 

ほんとにこんなお客さんがいるから、またがんばる気持ちになれるんだね。ありがとうございます親方!

 

 

そして、がんばれ裕司!

がんばれ藤原屋!